先端医療事業概要
当社は「最先端医療」と呼ばれる新たな治療法や手技だけではなく、
アンチエイジングを含めた広義の健康へ寄与する先端技術を含めて「先端医療」と呼んでいます。
このために、これから世に出る治療法や医療技術への研究開発に積極的に取り組んでいます。
私たちは世界の医療機関や研究機関と連携し、革新的な技術の提供を通じて身体の治癒を支援し、
患者様のQOLの向上を目指しています。さらに、自由な選択ができる世界を創出し、
誰もが多様な権利を享受できる社会への貢献を大切にしています。このような使命を背負い、
私たちは医療の進歩発展に貢献し続けるとともに、常に先端技術を取り入れる努力を続けています。
アンチエイジング
高齢化が進む日本では、アンチエイジングによる健康寿命の延長が求められています。
NAD＋¹は体内で自然に合成される物質ですが、加齢により減少し、それが老化現象の要因の一つとなっています。サーチュイン遺伝子はNAD＋に依存して老化を予防することが分かっています。私たちは、NAD＋の前駆体であるNMN²を中心に、老化予防に向けた研究用試薬の受託製造を行っています。さらに、酸化ストレス抑制により老化を予防することが期待されている高濃度ビタミンC療法の研究用試薬の受託製造も行っています。また、私たちは自社の強みを活かして、新しい抗老化物質のスクリーニングやリポソーム化サプリメントの研究開発にも取り組んでいます。
論文協力
Kimura, S., Ichikawa, M., Sugawara, S., Katagiri, T., Hirasawa, Y., Ishikawa, T., et al. Nicotinamide Mononucleotide Is Safely Metabolized and Significantly Reduces Blood Triglyceride Levels in Healthy Individuals. Cureus, 2022, 14.9.
1 Nicotinamide adenine dinucleotide（ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド）
2 Nicotinamide mononucleotide （ニコチンアミドモノヌクレオチド）
遺伝子治療
抗がん剤治療は患者様の生存率を改善するために広く使用されています。しかしながら、その副作用や治療抵抗性の問題も顕在化しています。また、一部の患者様は既存の保険診療では治療が不可能な状況にあります。こうした患者様にとって、新たな治療法の開発が急務の課題となっています。遺伝子治療は、がん遺伝子変異解析と組み合わせることにより、個別化された治療計画の立案を行えることが期待されています。さらに、遺伝子治療は重篤な副作用が見られないことから、抗がん剤治療の副作用に苦しむ患者様や既存の保険診療では治療が不可能な患者様に対する代替療法としても着目されています。
当社では、医師の指示のもとに、臨床研究で使用される試薬の研究開発および製造受託を行っております。
論文協力
Matsunaga, W., Ichikawa, M., Nakamura, A., Ishikawa,T., Gotoh, A. Lentiviral vector-mediated gene transfer in human bladder cancer cell lines. Anticancer Research,2018, 38.4: 2015-2020.
Matsunaga, W., Ichikawa, M., Ishikawa, T., Gotoh, A. Lentiviral vector-mediated transfection of p53, p16 and PTEN genes against human renal cell carcinoma cell lines. Personalized Medicine Universe, 2019, 8: 10-14.
Ichikawa, M., Matsunaga, W., Ishikawa, T., Gotoh, A. Lentiviral vector-mediated gene transfer combined with cisplatin enhances tumor suppression in human bladder cancer cell lines. Personalized Medicine Universe, 2019, 8: 15-19.
Matsunaga, W., Ichikawa, M., Ishikawa, T., Gotoh, A. Lentiviral vector-mediated transfection of human cancer cell lines with tumor suppressor genes inhibits proliferation in vitro. Personalized Medicine Universe, 2020, 9: 38-41.
光線力学的療法（PDT）
光線力学的療法（PDT¹）は、がん細胞に光感受性物質を取り込ませ、光を照射することで、正常組織には影響を与えずに腫瘍組織のみを選択的に障害する治療法です。さらに、照射する光そのものに細胞傷害作用がないため、PDTは重篤な副作用のない治療法と考えられています。
臨床において一定の治療効果が得られていることから、PDTは手術、化学療法、放射線療法、がん免疫療法に続く治療法として期待されています。こうした背景から、当社では立ち上げ当初からPDTの研究開発に取り組んでおり、細胞実験や動物実験だけではなく、臨床試験においても実績を積み重ねてきました。これまで当社が培ってきた知識と経験をもとに、お客様に対して新規の光感受性物質のリポソームやミセルなどの高分子加工を提供しています。
論文協力
Yorozu, K., Kaibori, M., Kimura, S., Ichikawa, M., Matsui, K., Kaneshige, S., et al. Experience with Photodynamic Therapy Using Indocyanine Green Liposomes for Refractory Cancer. Journal of Personalized Medicine, 2022, 12.7: 1039.
1 Photodynamic therapy（フォトダイナミックセラピー）
ドラッグデリバリーシステム（DDS）
腫瘍組織は、正常組織と比べて血管透過性が高くなっていると言われています。そのため、大きさが20-200nm程度の高分子が血管から漏れやすく、リンパ管への排泄機能も低下しています。これをEPR¹効果と呼びます。ドラッグデリバリーシステム（DDS²）分野では、この現象を利用した研究が盛んに行われております。当社では様々な医療機関や研究機関と提携し、リポソーム化やミセル化により、副作用がなく効果的にがんに作用する抗がん剤の研究開発に取り組んでおります。当社では腫瘍微小環境に着目しており、腫瘍間質の改善や細胞障害性T細胞へ特異的に作用する薬剤の研究も行っております。DDS分野での革新的な技術開発による医学への貢献を目指しています。
論文協力
Yorozu, K., Kaibori, M., Kimura, S., Ichikawa, M., Matsui, K., Kaneshige, S., et al. Experience with Photodynamic Therapy Using Indocyanine Green Liposomes for Refractory Cancer. Journal of Personalized
Islam, W., Kimura, S., Islam, R., Harada, A., Ono, K., Fang, J., et al. EPR-Effect Enhancers Strongly Potentiate Tumor-Targeted Delivery of Nanomedicines to Advanced Cancers: Further Extension to Enhancement of the Therapeutic Effect. Journal of personalized medicine, 2021, 11.6: 487.
1 Enhanced permeability and retention
2 Drug delivery system（薬物送達システム）
粉末遺伝子製剤
近年、遺伝子変異によるがんの治療において、ベクターを使った遺伝子治療が注目されています。特に、非小細胞肺がんや悪性胸膜中皮腫などの肺がんは、死亡率が高く、新しい治療法の開発が急務となっています。そこで、当社では肺に直接有効成分を届けることができるドライパウダーに、がん抑制遺伝子を組み合わせることで、低侵襲性かつ経口吸入可能な肺がん治療用の粉末遺伝子製剤を開発しています。また、研究機関との共同研究により、細胞実験および動物実験において、粉末遺伝子製剤が非小細胞肺がんや悪性胸膜中皮腫に対して、有効な可能性を示しています。将来的にはヒトを対象とした臨床試験を計画しており、最終的には患者様が自ら投与できる、新しい肺がんの遺伝子治療薬として実用化を目指しています。
論文協力
Ichikawa, M., Muramatsu, N., Matsunaga, W., Ishikawa, T., Okuda, T., Okamoto, H., et al. Effects of inhalable gene transfection as a novel gene therapy for non-small cell lung cancer and malignant pleural mesothelioma. Scientific Reports, 2022, 12.1: 1-8.
